高齢者ドライバーの話題が、度々社会問題として取り上げられるようになり、しばらく経ちました。各自治体でも、免許自主返納の促進が始まり、そのかわりにタクシーの定額化や、電気自転車の貸し出し等々、免許返納者の生活に困らないようなサービスも普及してきました。
それでも耳にするのは、「もう乗らないで」というお子様世代と「まだまだ大丈夫」という親・祖父母世代の方との平行線の話し合い。「まだまだ大丈夫」の背景に、クルマが無い生活への不安や、周囲に迷惑をかけたくない気持ちがあるのが分かるからこそ、強く言えない方も多いのではないかと思います。
ただやはり、ご自身と周囲の命に係わる問題。しっかりと現状を踏まえて、「免許返納をご理解・納得いただくための」サービスも利用してみてはいかがでしょうか?
例えば、警察署や運転免許センターには、「運転適性相談窓口」が設置されています。また、医療機関では、運転者の状況により「運転は危険です」との診断書の提供や、ドクターストップをしてもらえたりもします。ご家族で話し合っても解決できないときは、専門機関で相談すると話が進むこともあるのではないでしょうか。
リースやレンタカーを提供するオリックス自動車では、車内に計測機器を置き、運転能力を数値化した情報をパソコンやスマホに転送するサービス「エバードライブ」を提供しています。急ブレーキや急加速、速度超過の回数を測り、運転の危険度を可視化するサービスで、月額利用料の支払いで利用ができます。
具体的な数字を引き合いに出すことができれば、納得感のある話し合いができるかもしれません。
また、「免許返したら?」の一言が言えていないというご家族には、こんなきっかけはいかがでしょうか。
7月31日、日産自動車は、クルマを運転する親・祖父母を持つご家族に向けて、助手席からドライバーを見守り、運転能力を確認する「#助手席孝行」の呼びかけを開始しました。具体的なチェックポイントを大きく5つのポイントに絞り、その頭文字から「みぎあしは」の合言葉にまとめています。
「み」ミラーちゃんと見てる? 「ぎ」ギヤチェンジ迷ってない? 「あ」アクセルとブレーキ急じゃない?「し」車間距離保ててる? 「は」ハンドル遅れてない?
「こんな運動があるらしいよ」との気軽な会話やチェックをきっかけに、今後の運転についての話を投げかけてみるのも良いかもしれません。
ただ、忘れてはいけないのは、交通事故を起こすのは、高齢者よりもむしろ若者の方が多いということ。警察庁の交通事故統計では、10代、20代の事故件数が群を抜いて多く、30代、40代と続きます。助手席チェックは高齢者のみならず、相互で行うチェック項目として、是非、ご家族で話題にしてみてはいかがでしょうか?