クルマのシートの最上部にあるヘッドレスト。多くの車種で高さ調整が可能となっており、運転中の体の支えや、休憩でちょっと横になるときなど、欠かせない存在ですよね。ただ、このヘッドレスト、リラックスする用の「枕」として備え付けられているのではありません。安全性を確保するための重要な役割を持っていること、ご存知でしょうか?
日本の交通事故の中で、最も多い事故のタイプが追突事故。
そして、追突事故のケガの箇所は、約9割が「首」だと言います。
ヘッドレストはその首を守るため、運転席と助手席に必ず設置することが法律で定められているのです。法律には「頭部後傾抑止装置」として記載があり、文字通り、追突により頭が大きく後ろに揺れることを防ぐための装置として位置づけられています。ですので、ジャマだからとヘッドレストを外してしまうと、法律違反になってしまうのでご注意を。
ところがこのヘッドレスト、適正な位置に調節しているドライバーは、全体の半数に満たないというデータが、ホンダが調査した結果で出ています。高さ調整が可能なクルマでは、ヘッドレストが一番下の位置にあるケースが多く、その状態では、頭のほうが上に位置してしまい、いざ事故にあったときに「頭部後傾抑止」の効果が発揮されないというのです。
では、ヘッドレストの適正な位置とは、どこなのでしょうか?
JAFのサイトでは、「頭頂部と高さを合わせ、ヘッドレストと頭にすき間ができないようにします」としています。各メーカーの車両の取扱説明書では、「後頭部の中心がヘッドレストの中心に来るように」「ヘッドレストの中心が両耳のいちばん上のあたりになるように」としているなど、表現は微妙に異なるものの、ヘッドレストと頭の間になるべくすき間ができないような位置というのは共通するようです。
レンタカーなどを利用した際、シート位置やミラーの位置は自分用に調整しても、意外とこのヘッドレストの位置調整は見落としているのではないでしょうか?また、低いほうが頭が楽、など、自分なりの使い方をしている方もいらっしゃるのでは?
「ヘッドレスト」はそもそも、「ヘッドレストレイント(Head Restraint)」の略。Restraintは「拘束」を意味し、Rest(休息)ではありません。拘束されるのですから、仮に多少不快だったとしても、適正な位置で使用しなくては意味がないというわけです。
是非、適正位置への調整をしていただき、安全確保をしていただければと思います。