クルマ製造の進化!使われている身近な材料は?

クルマ製造の進化!使われている身近な材料は?

目次

クルマは何でできていますか?と質問すると、ほとんどの方が
「鉄」と答えるのではないでしょうか?
「クルマは、鉄を溶接して造られる」これが、昔からの常識でした。
ところが近年は、アルミやスチールなどの素材も多く使われ、さらに自動車の軽量化や安全性の追求に伴い、様々な材料での製造が研究開発されています。その中でも、私たちの生活に
なじみ深い、身近な材料を、一部ご紹介いたします。

まずは「植物」から作られる素材。
樹木などの繊維から作られる「セルロースナノファイバー」は、自動車の軽量化を実現する新素材として注目を集めています。
これは、木の繊維を10億分の1まで細かくしたもので、鉄に比べて重さは5分の1、それでいて強度は5倍もあるそうです。植物由来のため、二酸化炭素(CO2)の排出削減にもつながり、国土の7割を森林が占める日本にとっては調達しやすい資源として期待が高まっています。

その樹木の中でも、「スギ」から作られる新素材に「改質リグニン」があります。
リグニンは、木材の3割を占める成分で、植物の細胞壁を固くする性質を持ち、これを元にした素材は強度や耐熱性に優れています。ほかの工業素材に足して使うことで従来よりも強度が増すため、部品を薄くしたりといった軽量化にも一役買えるとのこと。スギは国内で最も多い樹木で安定供給が可能なため(スギ花粉症の方から悲鳴の上がりそうな文章です!)今後コスト削減していく可能性も高く、実用化に向けて実車テストが行われる段階です。

また、車の製造過程に「接着剤」が使われているのをご存じでしょうか?窓ガラスと一番外側のドアは、ほとんどの車が接着剤で接合されています。溶接だと熱で変形・変色したり、後で補修が必要になったときに大変。簡単にくっつけられ誰でも作業できるのが、接着材の一番のメリットです。

また、欧州の高級車メーカーを中心に、ボディのパネル同士を接着剤を使って接着する方法が使用され始めました。これによって接合剛性が飛躍的に高まり、車体剛性も向上。(※剛性とは、形の変化に対する弾性。弾性体が、曲げ・ねじりなどの力に対して歪(ゆが)まない性質)ハンドリングや乗り心地の改善、不要な振動を低減することが可能となったのです。
これまで構造用接着剤は一部の高級車にのみ採用されていましたが、パネルの一部のみに接着剤を使ったプリウスなども登場してきました。こうした接着車体の車両に乗ってみると、走行時の圧倒的な静けさを体感することができるそうです。

軽量化は燃費向上に欠かせない研究のひとつ。また、強度を追求した安全性、そして運転性能の向上と、これからのクルマの進化に期待です。