カーリンクスタッフの想い

変わっていくもの、
変わらないもの、
変えてはいけないもの

嘉島店 福島 良二

 「車を手離したいという人がいるから相談に乗ってあげてほしい。」とご紹介頂き、出張査定に伺いました。お客様は、市外にお住まいのご高齢のご夫婦でした。紹介者の方の話によると、売却のご相談は奥様から頂いたとのこと。ご主人が車で出かけるたび、帰ってくるまで心配でたまらず、運転をやめてほしいのだそうです。

 お宅に伺うと、当のご主人は手離すことに乗り気ではないご様子。査定をしながらお話をしていると、ご主人は、少しずつ本音を話してくださいました。

 「私は、植樹の活動を生きがいにしている。その活動に車が必要だから、ずっと売却に反対していた。だけど、妻が心配する気持ちも分かるし、本当は運転にも少し不安がある。自分に何かあったら家族に迷惑がかかると頭では分かっていても、ずっと乗ってきた車を手離したくない・・・。」と、とても迷っていらっしゃいました。

 その後もいろいろとお話しをお伺いさせて頂くなかで、お客様ご自身でお気持ちを徐々に整理されました。最終的に車は諦め、必要なときは仲間に乗せてもらうと折り合いをつけられ、売却されることになりました。

 「未練が残らないようにすぐに持って行ってくれ。」と言われたときの、ご主人の寂しそうなお顔がとても印象に残りました。

 私は、大切なお車と、お車に対するお気持ちを思い切って整理されたこのお客様に、「何かできることがないか」と考えました。

 考えた結果、キレイに撮れた車の写真を大きく引き伸ばし、プレゼントすることにしました。生涯最後の車として、ベストショットの一枚を額に入れ、持って行きました。お客様は、それは大変な喜びようで、「これでやっと気持ちの整理ができます。本当にありがとう。」とおっしゃって下さいました。

 私が帰る時、写真を胸に大事に抱き、深々と頭を下げて見送って下さいました。  車の売買は進化し、ネットだけでも取引される時代になってきました。しかし、いつの時代も「お客様の笑顔」は心を揺さぶります。その笑顔のため、「お客様への心配り」は決して失くしてはいけません。車の売買を通してお客様の心と通じ合い、感動を生むことができる。そう強く、強く感じました。