カーリンク熊本南店

「車を手離したい人がいるから相談にのってやって。 」と紹介を頂き、出張査定に行きました。 お客様は、市外にお住まいの、高齢のご夫婦でした。 紹介者の話によると、売却のご相談は奥様から頂いたとのこと。 ご主人が車で出かけるたび、帰って来るまで心配でたまらず、運転をやめさせたいのだそうです。

お宅に伺うと、当のご主人は手離すことに乗り気ではないご様子。 昨夜も、勝手に売却の相談をした奥様と喧嘩をされたそうです。 査定をしながらお話をしていると、ご主人は、少しずつ本音を話して下さいました。

「私は、植樹の活動を生きがいにしている。 その活動に車が必要だから、ずっと売却に反対していた。 だけど、妻が心配する気持ちも分かるし、本当は運転にも少し不安がある。 自分に何かあったら家族に迷惑がかかると、頭では分かっていても、ずっと乗ってきた車を手離したくない･･･。 」と、葛藤していらっしゃいました。

二時間ほどお話をお聞きしていると、お客様のお気持ちが整理されていくのが分かりました。 最終的に車は諦め、必要なときは仲間に乗せてもらうと、折り合いをつけられ、売却頂きました。

「未練が残らないようにすぐ持って行ってくれ。 」と言われ、引き上げるときの、ご主人の寂しそうなお顔がとても印象に残りました。

私は、「お客様のために何かできることはないか」と考えました。 それまで「買い取れて良かった」程度しか感じたことがなかった私にとって、初めてのことでした。 立ち話で二時間お客様と向き合い、奥底にある本音を伺えたことで、感情移入できたからだと思います。

考えた結果、キレイに撮れた写真を大きく引き伸ばし、プレゼントすることにしました。 生涯最後の車として、ベストショットと思われる一枚を額に入れ、持って行きました。 お客様は、それは大変な喜びようで、「これでやっと気持ちの整理ができます。 本当にありがとう。 」と、おっしゃって下さいました。 私が帰るとき、写真を胸に大事に抱き、深々と頭を下げて見送って下さいました。 本当に感動した瞬間でした。

車の売買は進化し、ネットだけで取引できる時代です。 環境はめまぐるしく変わります。 しかし、いつの時代も「お客様の笑顔」は心を揺さぶります。 その笑顔のため、「お客様への心配り」は決して失くしてはいけません。 車の売買を通してお客様の心と通じ合い、感動を生むことができる。 それを強く、強く感じました。